
町内会や自治会で役員や班長になると、「募金のお願い」をする機会も出てきますよね。
でも実際には、「どんな文章で伝えるべき?」「金額は決めていいの?」など、悩みが尽きないものです。
この記事では、町内会で募金をお願いする際の文例やマナー、集金の工夫までを徹底解説。
そのまま使えるテンプレートはもちろん、トラブルを避ける言い回しや、住民に配慮した表現方法も詳しく紹介しています。
初めての方でも安心して進められるよう、丁寧でわかりやすい内容にまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
町内会で募金をする前に押さえておきたいこと

募金をお願いするとなると、「どんな文面が適切?」「どこまで伝えるべき?」と悩みますよね。
お願いの仕方を間違えると、住民との信頼関係にヒビが入ってしまうことも。
この章では、町内会で募金を始める前に必ず押さえておきたい基本ポイントを紹介します。
募金の目的を明確にする理由
まず何より大切なのが、「何のための募金か」を明確に伝えることです。
例えば、「地域清掃用具の購入」や「被災地支援」といった具体的な目的がないと、住民は納得しづらくなります。
「お金だけ取られて、使い道が不明」では、不信感を招くリスクがあります。
団体側で用意されたチラシや活動報告があれば、必ず一緒に配布しましょう。
資料がない場合も、簡潔で良いので「どこに寄付するのか」「どう役立つのか」を文面に含めてください。
募金が強制でないこととその表現方法
募金は任意であることを明記するのは必須です。
「自由意思での寄付です」「強制ではありません」などの文言を忘れずに入れましょう。
過去には、「募金が実質的に義務化されていた」として、裁判に発展した例もあります。
また、目安金額を書くのはOKですが、「〇〇円をお願いします」と強制する表現はNGです。
例えば以下のような表現が適切です:
| NG表現 | OK表現 |
|---|---|
| 一世帯〇〇〇円をお願いいたします。 | ご参考までに、目安は〇〇〇円程度となっております。 |
| 必ず封筒をご提出ください。 | ご賛同いただける方は、ご協力をお願いいたします。 |
寄付者名の公表・匿名希望への配慮
もうひとつ注意が必要なのが「寄付者名の公表」についてです。
名前の公表も、強制してはいけません。
会報などで寄付者名を掲載する場合は、事前に「匿名を希望される方はお申し出ください」と一文を添えましょう。
配慮がないと、「公表されたくないから募金しない」という選択にもつながってしまいます。
みんなが気持ちよく協力できるよう、選択の自由を守ることが大切ですね。
募金のお願い文例:用途別テンプレート集

募金の依頼文は、内容によって伝えるべき情報や表現が少しずつ異なります。
この章では、町内会でよくある目的ごとに、実際に使える募金依頼文のテンプレートを紹介します。
回覧板やポスティング資料として、そのまま使える文面なのでぜひ参考にしてくださいね。
災害支援や被災地支援の募金例文
件名:災害支援募金のお願い
拝啓 春寒の候、皆様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
日頃より町内会活動にご理解とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。
さて、皆様もご存じの通り、先日の〇〇地方で発生した地震により、多くの方が被災されています。
〇〇町内会では、このたびの災害支援のための募金活動を実施いたします。
つきましては、下記の通りご案内申し上げますので、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
| 募金名 | 〇〇地震 災害支援募金 |
| 募金額の目安 | 1世帯 300円程度(任意・自由金額) |
| 集金方法 | 添付の封筒に入れ、氏名・金額を記入のうえ、〇月〇日までに組長へお渡しください。 |
| 備考 | 寄付は完全に任意です。強制ではございませんのでご安心ください。 |
地域清掃や自治会イベントのための募金例文
件名:町内イベント支援募金のお願い
拝啓 晩春の候、皆様におかれましてはますますご健勝のことと存じます。
さて、例年通り〇月〇日に開催予定の「町内夏祭り」につきまして、規模拡大に向けて支援募金を募らせていただくことになりました。
準備費用の一部をご協力いただければ幸いです。
ご無理のない範囲でのご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。
- 募金目的:町内夏祭りの備品購入・景品準備
- 目安金額:1世帯あたり200円程度(自由金額)
- 集金方法:〇月〇日(日)町内清掃後、組長が集金いたします
※当日ご都合が合わない方は、別日でも構いませんのでご相談ください。
神社・お寺などの施設修繕の募金例文
件名:地域神社の修繕支援募金のお願い
拝啓 初秋の候、皆様におかれましてはご清祥のこととお喜び申し上げます。
このたび、〇〇神社の屋根修繕工事に際し、地域住民からのご支援を募ることとなりました。
町内会としても支援を検討しておりますが、併せて任意での募金をお願い申し上げます。
地域の伝統と安全を守るため、ぜひご協力ください。
| 対象施設 | 〇〇神社(〇丁目〇番地) |
| 募金目的 | 屋根・雨樋の修繕費用支援 |
| 目安金額 | 1世帯 1,000円~(金額自由・強制なし) |
| 集金方法 | 添付封筒をご使用ください。ご記名と金額記載をお願いいたします。 |
| 備考 | 寄付者名は神社掲示板に掲出予定です。ご希望されない方はお申し出ください。 |
文面を作る上でのポイントとマナー
町内会での募金依頼文は、「丁寧で伝わりやすく」「誤解が生まれない」ことが大切です。
この章では、募金文書を作る際に注意したいマナーや表現のコツを解説します。
失礼なく、かつ住民に安心して協力してもらえる文面を作るためのポイントを押さえましょう。
挨拶・導入の書き出しパターン
文書の冒頭では、まず時候の挨拶と日頃の感謝を述べるのが基本です。
形式的でも構いませんが、住民に対する配慮が伝わる一文があると印象が良くなります。
| 季節 | 使いやすい時候の挨拶例 |
|---|---|
| 春(3〜5月) | 春暖の候、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。 |
| 夏(6〜8月) | 猛暑の折、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。 |
| 秋(9〜11月) | 秋涼の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 |
| 冬(12〜2月) | 寒さが厳しい季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。 |
この後に「平素より町内会活動にご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。」という定型文を入れると、きれいな導入になります。
金額の設定と「目安」「任意」の言い回し
金額の「指定」や「義務」の印象を与えないような表現が重要です。
募金の自由性を尊重する文面にしましょう。
たとえば、以下のような言い回しが適しています:
- 「ご参考までに、目安金額は〇〇円程度となっております。」
- 「ご賛同いただける方は、ご無理のない範囲でご協力をお願いいたします。」
- 「金額は自由です。お気持ちでご寄付いただければ幸いです。」
逆に、以下のような表現は避けましょう:
- 「必ず〇〇円をご用意ください。」
- 「提出が確認できない場合は再訪問いたします。」
あくまでも任意であることを明確にすることで、トラブルを未然に防げます。
集金方法・回収タイミング・連絡先の明記
募金をスムーズに回収するためには、「誰が・いつ・どのように集金するか」を明確にする必要があります。
また、連絡先をしっかり記載しておくことで、不在時の対応や問い合わせにも備えられます。
| 記載すべき項目 | 例 |
|---|---|
| 集金日時 | 〇月〇日(日)18時〜20時の間に班長が訪問いたします。 |
| 提出方法 | 封筒に入れて玄関先にご用意いただけると助かります。 |
| 不在時対応 | ご都合が悪い場合は、〇〇までご連絡ください。 |
| 連絡先 | 〇〇班長 携帯:090-xxxx-xxxx |
また、「名前の公表を希望しない方はお申し出ください」などの配慮の一文も忘れずに入れておきましょう。
募金をスムーズに集める工夫と集金方法
「いざ募金を集めようとしても、なかなか集まらない…」という経験はありませんか?
実は、ちょっとした工夫で回収の手間を大きく減らすことができるんです。
この章では、代表的な集金方法と、スムーズに集めるためのコツを紹介します。
封筒配布+組長訪問型の進め方
最も一般的なのが「募金封筒を配布し、決まった時間に組長が各家庭を訪問する方式」です。
この方法は、集金側が主導できるため、管理しやすいメリットがあります。
ただし、不在の家庭も多いため、訪問日時をあらかじめ文面で伝えておくことが大切です。
| ポイント | 具体的な工夫 |
|---|---|
| 訪問日時の周知 | 「〇月〇日 18時〜20時頃に伺います」と明記 |
| 不在時対応 | 「都合が悪い場合はご連絡ください」と一文を添える |
| 封筒の仕様 | 名前・金額記入欄を印刷済みにしておく |
お釣りを用意する手間を省くためにも、「できるだけ釣り銭のいらない形で」と伝えるのも有効です。
イベント時・清掃後・総会時など“集まりの機会”を利用する方法
町内の行事があるタイミングで募金を集めるのも効率的な方法です。
例えば、月1回の清掃や定例会後など、すでに人が集まる場を利用すれば、わざわざ訪問せずに済みます。
文面には以下のように記載するとスムーズです:
- 「〇月〇日の清掃活動終了後に募金封筒をお持ちください」
- 「総会受付時に募金を受け付けます」
ただし、この方法は不参加世帯には別対応が必要なので、並行して個別訪問や連絡の工夫も必要になります。
希望者による持参方式・オンライン払込などの代替手段
最近では、「集金は希望者が持参する方式」も増えています。
これは「押し付けがましく感じさせない」点で好印象を持たれやすい方法です。
文面に記載する例は以下の通りです:
| 持参方法 | 記載例 |
|---|---|
| 自宅持参 | 「ご協力いただける方は、〇月〇日までに班長宅(〇丁目〇番地)へお持ちください」 |
| 公民館受付 | 「〇月〇日までに公民館窓口までご提出ください」 |
また、最近では自治体やNPOによってはキャッシュレス募金や口座振込に対応している場合も。
もし相手団体が指定口座を持っていれば、「口座振込も可能」と記載すると便利です。
ただし、口座振込を案内する際は間違い防止のため、口座情報を紙で明記するようにしましょう。
よくある質問(Q&A形式)
募金をお願いすると、住民の方からさまざまな質問や疑問を受けることがありますよね。
この章では、町内会でよくある「募金に関する質問」と、その丁寧な対応例をQ&A形式でご紹介します。
あらかじめ答え方のイメージを持っておくことで、トラブルや誤解を防ぐことができますよ。
「募金額はいくらが妥当か?」という相談への対応
Q: 募金したい気持ちはあるのですが、相場がわかりません。どれくらいが妥当ですか?
A: ご質問ありがとうございます。募金はあくまでも任意で、ご無理のない範囲で構いません。
目安としては、過去の同様の募金では1世帯あたり200円〜500円程度が多かったようです。
あくまでご参考までに、とのスタンスでお伝えするのがポイントです。
「不在が多くて集金できない世帯がある」が起きた場合の対策
Q: 集金時に不在が続く家があり、なかなか回収できません。どうしたらいいでしょうか?
A: 事前に「訪問日時を明記した文書」を配布しておくのが一番効果的です。
それでも難しい場合は、以下のような対処が可能です:
- 封筒回収をポスト投函や玄関先に変更する
- 持参方式に切り替え、班長宅へ届けてもらう形にする
- LINEや電話などで日時調整し、再訪問を行う
柔軟に対応することが、住民との信頼関係を守るカギです。
「寄付をしてくれない人がいる」という場面での配慮
Q: ある家庭がまったく募金に応じてくれません。何度説明しても無視されます。
A: 募金は思想・信条の自由に基づく任意の行為であるため、参加しないことを理由に責めたり、働きかけを強めたりすることは避けるべきです。
以下のようなスタンスが適切です:
- 「無理にお願いするものではありません」とお伝えする
- しつこく訪問せず、文書や回覧での案内のみにとどめる
- 周囲の住民にも、参加は自由であることを再度共有する
誤解を生まないよう、あらゆる人が参加しやすい、もしくは断りやすい環境づくりを心がけましょう。
まとめ:気持ちよく、信頼を築いて募金をお願いするために
ここまで、町内会での募金を依頼する際のポイント、文例、集金の工夫などを見てきました。
最後に、改めて「住民に負担感を与えず、信頼関係を保ちながら募金を進めるためのコツ」を整理しておきましょう。
| 項目 | 押さえるべきポイント |
|---|---|
| 文面作成 | 目的・金額の任意性・寄付者名の取り扱いを明記 |
| 金額設定 | 目安を提示するのみで、強制と受け取られない表現に |
| 集金方法 | 封筒配布+訪問、行事利用、持参方式などを柔軟に選択 |
| 住民対応 | 不在・辞退・拒否にも配慮し、無理強いしない姿勢を徹底 |
| 文書のトーン | 感謝と丁寧な表現を軸に、情報は簡潔にわかりやすく |
募金は「お願いする側」と「される側」の信頼があって初めて成り立つものです。
だからこそ、文面ひとつ、集金方法ひとつに住民への配慮を込めることが大切です。
あなたの誠意が伝われば、自然と協力の輪も広がっていきます。
ぜひこの記事を活用しながら、誰もが気持ちよく参加できる募金活動を実現してくださいね。